見出し画像

【ソーシャルメディア活用(14)ソフトバンク】「フェイスブックは最近、孫社長のファン数を抜きました」

※このコラムは2012年9月3日の宣伝会議Advertimesに寄稿したものの転載です。


今回はソフトバンク広報室の亀田輝行さんと、ソフトバンクモバイル マーケティング本部の澤田健太郎さんのお2人です。新たに創設した「ソーシャルメディア課」という部署を兼任し、ソフトバンクのソーシャルメディア運用を手がけておられるお2人に、ソーシャルメディア運用の経緯や取り組みをお伺いしました。

(左から)澤田健太郎さん、亀田輝行さん

2009年後半から全社でツイッターを本格活用


――ソフトバンクはツイッターを積極的に活用している印象があります。使い始めたきっかけを教えてください。

澤田:積極的に使い始めたのはソフトバンクモバイルの2009年の新商品発表会からになります。携帯電話の新商品発表会をツイッターで中継する、という試みはauさんが先に始められていましたが、我々も同じころにアカウントを開設しており、いろいろと試行錯誤しながら運用していました。といってもいきなり大きくアピールするのではなく、ひっそりと立ち上げたというのが実際のところで、自分たちのトライアンドエラーや他企業の活用法などを研究しつつ、本格的に運用したのがその年の冬の発表会です。

亀田:ちょうどその頃、ソフトバンクでは「ソフトバンク 新30年ビジョン」の策定を行っており、外部からの意見も積極的に取り込みたいとの考えから、社員も積極的にツイッターを活用しようという動きがありました。2009年12月24日に社長の孫(正義氏)がツイッターを開始し、同時にソフトバンク全社員もツイッターのアカウントの取得を推奨され、全社体制でツイッターを活用するようになりました。

――本格的に使われたのは2009年冬の発表会からとのことですが、その時はどのような使い方をしていたのでしょうか。

澤田:会場で発表される内容をリアルタイムで実況していく、というスタイルですね。会場のスタッフが事前に用意していた原稿などを使いつつ、発表の内容に合わせてリアルタイムにツイッターへ投稿していきました。それまでお客さまはニュースサイトなどで新商品の情報を知っていましたが、ツイッターでは商品に興味がある方へいち早く情報を届けることができます。

――反響はいかがでしたか。

澤田:想像以上に大きな反響をいただきました。当時は商戦発表会を活用したソーシャルメディアの発表会ということで新聞社にも取り上げていただきましたね。

――注目度が高いぶん、ネガティブな意見が出る可能性もありますが、そうした不安感はありませんでしたか。

澤田:不安がないわけではありませんでしたが、もともとソフトバンクの発表会は社長の孫によるプレゼンテーションへ注目が集まることで自発的に盛り上がっているムードがありました。我々としてもただ事実を伝えているだけなので、そうして注目している人たちに盛り上がってもらえればいい、という考えでした。

亀田:ツイッターを活用する前から、発表会の模様はコーポレートサイトでライブ中継したり、発表会の模様をニコニコ動画やユーチューブにアップしたりと、発表会の内容自体はインターネットへ広く公開していました。ライブ中継がツイッターと組み合わさるとどんな反応が起きるのかな、という懸念はありましたが、実際にはあまりにコメントが多すぎてほとんど読めない状態で、1つ1つのコメントを気にする余裕はありませんでしたね。

澤田:むしろ、発表会の進行スケジュールのタイミングに合わせて、ツイッターで投稿すること自体が初めてだったので苦労しました。

情報発信とカスタマーサポートでアカウントを使い分け


――その後も発表会ではツイッターを活用されているのでしょうか。

澤田:実は今年の夏の発表会からツイッターでの中継は止めました。ツイッターも十分普及して盛り上がっていますし、発表会の模様を動画で中継するとUstreamのコメント欄で盛り上がってくれるので、我々がわざわざツイッターを使わなくてもユーザーの方が注目してくれるようになったからです。

亀田:今ではツイッターで中継しているのは決算説明会だけですね。

――ツイッターユーザーを対象としたイベントも開催されましたね。

亀田:社長が「やりましょう」とユーザーの要望に応えたことで開催されたソフトバンクオープンDAYですね。

――社内で事前に説明はなかったのでしょうか。

亀田:誰も知らなかったですね(笑)。社長の「青野君、やろう」というツイートで初めて知り、週明けから慌てて準備が始まった、という流れです。(注・青野君とは、人事総務を統括するソフトバンクの青野史寛・常務執行役員)

集客から当日の入場管理まですべてツイッターで行うイベントは前例がなく、我々もツイッターの運用ノウハウがまだ蓄積できていない頃だったのでとても苦労しました。せっかく来ていただくのに社内の食堂に案内するだけでは芸がないので、ちょっとした発表会イベントを準備したりといろいろ工夫した結果、来ていただいたお客さまには非常に喜んでいただいて、そこからフォロワーも一気に増えましたね。増えたのは孫のフォロワーですが(笑)。

また、反響という意味では選挙のタイミングで行った「白戸次郎に一票」というプロモーションも大きな反響がありました。まだそれほどツイッターも知られていない時期だったのですが、ツイッターアカウントをフォローすることでお父さん犬の白戸次郎に一票を投じられる、というプロモーションをホームページで告知することで、フォロワー数を増やしていきました。

――ツイッターは現状どのような運用をされているのでしょうか。

亀田:情報発信がメインの使い方で、広報とマーケティングでアカウントを分けています。広報はホールディングスという立場で運用していて、決算説明会のツイッター中継や企業情報のPRなど、お堅い系の情報発信が中心です。マーケティング側ではソフトバンクの商品やサービスのPRを中心として情報発信をしています。

――基本的に情報発信が主で、ユーザーと直接コミュニケーションはされない方針でしょうか。

澤田:ソフトバンクの公式アカウントとして基本的にコミュニケーションは行わず情報発信に徹しているアカウントと、カスタマーサポートが運用する@SBCareというユーザーからの問い合わせに対応するアカウントがあります。

SBCareは2010年4月にカスタマーサポートの有志で立ち上げたアカウントです。社長の孫がツイッターで寄せられるユーザーの声に対して「やりましょう!」と即対応することが話題になったこともあり、孫の元に寄せられる質問やご意見も非常に多いのが現状です。その中には直接、お客さまに話しかけ、対応をさせていただいたほうがいち早く解決できる問題もあり対応をSBCareで担当しております。

実際の運用はSBCareやソフトバンク、孫のツイッターアカウント(@SoftBank)へ寄せられた質問への回答だけではなく、ソフトバンクに関するキーワードで検索し、要望や不満などをツイートしているアカウントへ積極的に話しかけるアクティブサポートも行っています。ユーザーとのコミュニケーションはSBCare、情報発信は公式アカウントと使い分けている形ですね。

拡散力あるツイッター、ネガティブコメントが少ないフェイスブック


――最近ではフェイスブックも始められたようですが、こちらはどういった経緯で開始されたのでしょうか。

亀田:フェイスブック自体は検討をずっとしていたものの、なかなか踏み出すきっかけがなかったのですが、今年の4月にソフトバンクとして公式のページを開設しました。そのちょっと前、3月29日には社長の孫が一足早くフェイスブックを開始して話題にもなりましたが、その時ちょうど社長と一緒にフェイスブックの勉強会を行っていて、公開する瞬間を目の当たりにしていました。その直後に、ソフトバンクのフェイスブックページを公開するよう指示がありました。

――検討しながらもフェイスブックを始めなかったというのは、何か懸念があったのでしょうか。

亀田:フェイスブックにどれだけの効果があるのか見えていなかった、というのが大きな理由ですね。

澤田:今までの事例を見ても、フェイスブックで大きく成功したという事例も見受けられなかったことに加えて、フェイスブックの運用に対して投資した際にどれだけリターンがあるのか、という点でも疑問がありました。我々の最終的なゴールは携帯電話を契約してもらうことですが、そのためには店舗に行って契約してもらう必要があるため、フェイスブック経由で契約につながった、というのは可視化しにくい。そういう状態でコストをかけて人員を割り当てる、というのが難しい状態でした。

――ツイッターのほうが運用メリットは高かったのでしょうか。

ツイッターであればすべて無料ですし、短い文章を投稿するだけで済みますが、フェイスブックは画像をたくさん使ったりアプリを開発したりというコストも発生します。また、ツイッターはRTという形で外部へ拡散していくのがわかりやすいというところもありますね。

――実際にフェイスブックを始められてからの感想をお聞かせください。

亀田:ツイッターだと非常に多くのお客さまからお声をいただけるのですが、匿名でも許されるシステムのせいか、中にはネガティブな意見も多く見られます。フェイスブックは実名が基本ということもあってそこまで強いネガティブなコメントは少なく、お客さまと接しやすい、という印象はありますね。そうは言っても、フェイスブックでも本音ベースで弊社の弱点やサービス面で至らないところはご指摘いただけるので、そうした声を参考にしながら改善に結びつけられると考えています。

――ツイッターとフェイスブック、両方を比べてみるといかがですか。

亀田:ツイッターの勢いに比べるとファン数の伸びは思ったほどではなかったですね。最近ようやく社長の孫のファン数を抜いたので1つの目標を達成したな、と思っています。

澤田:ツイッターは簡単にフォローできるけれど、フェイスブックでは企業のサイトに「いいね!」する文化があまりないのかな、という印象はありますね。

8月の「ソーシャルメディア課」発足で運用体制の刷新へ


――フェイスブックの運用で心がけていることはありますか。

澤田:写真は工夫するようになりましたね。

亀田:最初は新製品などのリリースが出たら載せるようにしていましたが、それではなかなかファン数が伸びず、フェイスブックでお客さまが求めているのはそこではないなと実感しましたね。文章もお客さまと対話するような表現に変えたり、投稿には写真をできるだけ入れるようにしたりと工夫しています。

――運用に関してはツイッターよりも手がかかるということでしょうか。

澤田:思っていた以上にフェイスブックのほうが手がかかりますね。もちろん我々がまだ慣れていないことも理由の1つなので、今後は改善していきたいと思います。

――ソーシャルメディアのアカウント運用体制はどのようになっているのでしょうか。

亀田:8月から新たに「ソーシャルメディア課」というチームが発足し、広報とマーケティングの担当が1つのチームでフェイスブックを運用するようになりました。今はまだツイッターはそれぞれの部署で運用していますが、この辺りも整理していきたいと思っています。

――広報とマーケティング、それぞれの部署を兼務しながらの新体制ということですが、どういった理由でこの体制になったのでしょうか。

澤田:ツイッターはそれぞれの部署で、Ustreamは主に広報が決算中継のために、と部署ごとに分かれて運用するのが普通でしたが、フェイスブックについては「ソフトバンク」というブランドで集約して運用することを前提としていたので、広報・マーケティングそれぞれの専門分野を担当しつつも、運用については一体化したほうがいい、という考えですね。

――今後考えられている施策や興味を持っているソーシャルメディアはありますか。

亀田:Google+やLINEといった新しいツールも検討しますが、まずはフェイスブックで今後いろいろな仕掛けをしていきたいですね。先日もフェイスブックの3万いいね達成を記念して、社員向けに開催するイベントへフェイスブックページのファンをご招待するといった企画を実施しました。広告施策なども考えつつ、フェイスブックがどういった効果を出せるのかはいろいろ検証していきたいと思います。

――効果検証はどのように行われているのでしょうか。

澤田:フェイスブックはこれからですが、ツイッターは発言内容のポジティブ、ネガティブを判別し、週次や月次でレポートしています。また、実際にお客さまが契約したかどうかまでは分析できていませんが、キャンペーンサイトへどれだけ誘導できたかという点は計測しています。

ただ、先ほども申し上げたとおり、ツイッターですとソフトバンクに対してネガティブな意見も多く、ポジネガの判別はネガティブな部分が強く出てしまうところはありますね。お客さまとのコミュニケーションという点ではフェイスブックのほうが文字数制限もなくやりやすいのかなと感じていますし、それが現在フェイスブックに注力している理由でもあります。

――インタビュー雑感
単に、最新のソーシャルメディアを利用するのではなく、ユーザーの反応を見ながら利用するメディアの取捨選択や、活用方法を柔軟に変更し、合わせて社内の体制もスピード感をもって最適化していく姿勢は、他の企業も参考になるのではないかと思いました。(アジャイルメディア・ネットワーク)

※このコラムは2012年9月3日の宣伝会議Advertimesに寄稿したものの転載です。


この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
note.user.nickname || note.user.urlname

こちらのnoteの著者は、サポートよりもネタの提供とスキを好みます。。。。

有難うございます!
4
アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 アンバサダーラボでは、ファンやアンバサダーに関すること、マーケティングのことなどを更新していきます。

こちらでもピックアップされています

アンバサダーラボ
アンバサダーラボ
  • 80本

ファンを活用した、アンバサダー プログラムの施策を紹介していくマガジンです。 http://agilemedia.jp/ambassador

コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。