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自社のファンやアンバサダーの存在を可視化する考え方とコツについてお話してみます。

こんにちは、村井です。

弊社AMNでは「企業やブランドとつながり、自発的にクチコミや推奨をしてくれる熱量高いファン」のことを「アンバサダー」と定義して、「アンバサダー」を軸としたマーケティング支援を行っています。

その中で、企業や代理店のご担当者様のところへ情報交換やディスカッションにお伺いすると
「うちはSNSもコミュニティもしていないので、ファンはいないのでは?」
「ましてや、アンバサダーなんていないのでは?」
と謙遜される方が一定の割合でいらっしゃいます。

中には、
「うちの商品は生活必需品だから(ファンはつかない)」
「〇〇世代向けのサービスだから(ファンが定着しない)」
「新ブランドだから(まだファンが現れない)」等々
「ファン」や「アンバサダー」不在の理由を教えてくれる方も…(汗)。

そんな時には、
「御社の新商品を待ち望んでいる人がたくさんいますよね」
「御社のサービスを利用して感謝している方が大勢いますよね」
と、まずは顧客の存在を再認識していただくようにしています。

その上で、一緒に「ファン」と「アンバサダー」の定義を考えさせていただいたり、実際にそのような人がいるのかを調べさせていただいたりすると、最終的には
「こういう風に語ってくれるのはありがたい」
「こういうファン(アンバサダー)をもっと増やしたい」
と語っていただけるようになります。

おそらくですが、ほとんどの場合は、
「ファン」が不在なのではなく
ファンの定義や可視化ができていないだけ。

「アンバサダー」がいないのではなく
アンバサダー的存在に辿り着いていないだけ。

(= =).。oO(何だかさみしい。きっと、ファンはいます…)
そんな風につぶやきたくなる今日この頃。

そこで、今回は自社のファンやアンバサダーの存在を疑問に思った時に試していただきたい、「自社のファンやアンバサダーの存在を可視化する方法」をいくつかご紹介したいと思います。

特に、ファンとのコミュニケーションやアンバサダーマーケティングの導入を検討しつつも、自社の「ファン」や「アンバサダー」の存在を疑問に感じることがあるという方に、参考にしていただけると幸いです。

ファンやアンバサダーの存在を可視化するための定義


まずは、自社の「ファン」がどんな人なのか。どんな行動をとる人なのか等を整理・定義することをおすすめします。その上で、自社の推奨顧客となる「アンバサダー」像を定義してみましょう。

この定義がぼやけていると、個人的な思い込みや謙遜などから可視化できる存在に目を塞いでしまう可能性がありますし、気がついたら別の事に気を取られてしまった…なんてことにもなりかねません。
固定観念を捨てるために、複数人で議論してみるのも良いと思います。

ちなみに、顧客の定義/区分というと、購入金額でのランク分けやRFM分析等を思い浮かべる方も多いかと思います。

「売上金額上位の顧客=ファン」と定義することはできると思いますが、そうすると商材によっては家族を代表して購入・利用している人や(それほど好きではないけれど)価格が安いから継続購入する人、居住エリア等の事情で購入の選択肢がそれしかない人等も含まれる可能性があります。
同時に、購入回数や金額は少ないけれどものすごくそのブランドや商品に理解があり、愛着を感じてくれている顧客は「ファン」ではなくなります。

そして、リピーターやいわゆる優良顧客等、御贔屓にしてくださるお客様を自社の「ファン」と定義することはできるのですが、売上金額で「アンバサダー」を定義することはできません…よね(汗)。

売上貢献軸だけで「ファン」や「アンバサダー」を定義しようとすると、こういった矛盾が生じる可能性があります。
矛盾を感じる場合には、それ以外の軸/ものさしが必要になるのではないでしょうか。

かくいう私も、アパレルメーカー勤務時代にRFM分析に出会い、上司の指示で顧客をSABC…と分析していたのですが、(当時売上絶好調だったプレタポルテ系の高価格帯商品を取り扱っていたこともあり)販売スタッフの声や店頭支援の際に出会ったリアルなお客様たちの熱量高いお話等々…様々な情報を自分の中に大量に吸収した後、「実は、Sランクの顧客だけがうちのブランドのファンだとは限らないのかもしれない…。うちのブランドに憧れて、支持してくれる人をファンと呼んではいけないの?」と密かに混乱した記憶があります。(ああ、なんて懐かしい…)

そんな私の昔話はさておき…。
それでは、どのように定義していくのがよいのでしょうか。
推奨顧客である「アンバサダー」の存在を念頭に入れ、売上貢献軸ではなく【熱量/情報発信軸】で定義するパターンを(架空の設定を交えて)ご紹介しましょう。

◆カラメル商事様 AAAプリン の場合 
・女性に人気のカスタードプリン「AAAプリン」を扱う食品メーカー
・商品は1個500円で、百貨店や大手スーパー等で販売
・コロナ禍ではじめたカラメル商事のECサイトでも販売中
・常設の情報接点は公式TwitterとECサイト
・昨今のプリンブームに乗るべく、近く新商品を発売する予定があるため、アンバサダーマーケティングを意識しはじめた

弊社AMNでは「企業やブランドと積極的につながり、自発的にクチコミや推奨をしてくれる熱量高いファン」のことを「アンバサダー」と定義していますので、ここではこの考え方を前提に、「AAAプリンと積極的につながりを持ってくれる顧客」のことを「AAAプリンファン」と定義。
その中でも、「自発的にクチコミをしてくれる推奨顧客」のことを「AAAアンバサダー」と定義
します。

これをもとに、売上貢献軸ではなく【熱量/情報発信】でAAAプリンの顧客層を分類すると、かなりざっくりですがこのような図で表すことができます。

AAAファンの定義ppt


ここで言う「アンバサダー」と「ファン」の違いは、クチコミの有無ではなく、他者への自発的なおすすめ/推奨行為の有無
AAAプリンに対する愛情や共感を(カラメル商事含めたつながりの中で)示してくれるのが「ファン」、自身の共感を更に広げようと家族や友人等の第三者に推奨してくれるのが「アンバサダー」です。

そして、「ファン」と「お客様」との違いは、AAAプリンと継続的につながり・関与する意思を持っているかどうかというところ。
カラメル商事ECサイトの会員登録やAAAプリンの公式Twitterへのフォロー&エンゲージメントしてくれる方々を「ファン」としています。

AAAプリンはTwitter運用をしていますから、そのつながりをベースに、

・いいね や コメントをしてくれる→「ファン」
・商品やサービスの紹介をすると引用RTでおススメしてくれる→「アンバサダー(候補)」

と考えることもできますし、Twitter上の発言/クチコミ軸で

・推奨発言をしてくれる→アンバサダー/推奨顧客
・好意的に語ってくれる→ファン
・購入報告をしてくれる→お客様 

と考えることもできます。

定義後は、Twitterのフォロワー数や会員数、顧客数がわかっている場合にはそれぞれに「〇人」と当てはめてみましょう。

このように自社の顧客を整理・(再)定義してみるだけでも、自社の「ファン」や「アンバサダー」の可視化につながるのではないでしょうか。

ファンやアンバサダーを可視化するSNS

SNS上での発言/クチコミから、自社の「ファン」や「アンバサダー的存在」を探すことができます。

TwitterやInstagram、TikTok等のSNS検索は誰にでもできますし、無料です。
企業やブランド・店舗等の公式アカウントをもっていなくても、自社の「ファン」や「アンバサダー」を可視化するのに便利ですので、ぜひ一度試してみていただきたいです。

検索は、企業名やブランド名、商品・サービス名・愛称等で行います。
(オーガニックで自発的なクチコミをしてくれるような「ファン」や「アンバサダー」的な存在に辿り着きたいため、キャンペーン用の#ハッシュタグでの検索はあまりおすすめしません)

その際、表記ゆれには注意が必要です。
ひらがな・カタカナ・漢字・大文字・小文字が混ざっている商品名やサービス名の場合、ユーザーの記憶違いや変換ミスで表記ゆれが度々生じます。
残念ながら、正式な表記よりも誤った表記での投稿が多い可能性もありますが、それも「ファン」や「アンバサダー」を定義するひとつのヒントになるかもしれません。

ざっとSNS検索をしてみて、ある程度投稿がありそうな場合は、まとまった数(50件・100件等)を決めてすべてに目を通してみてください。
この時、単純に検索したキーワードを含む投稿を読むだけではなく、できれば投稿内容をもとに、その投稿を自社の「アンバサダー」「ファン」「お客様」に分類してみましょう。

厳密に言えば、【投稿数≠発信者数】なのですが、SNSでの手動検索では人軸での発言分析はできませんので、明らかに数名による投稿しか見受けられない場合を除いては、【投稿数≒発信者数】とみなして投稿に目を通す、でも良いと思います。

AAAプリンの場合で考えますと…

Tw検索


・「美味しいから食べて見て!」等、推奨のコメント
・「美味しい♪」等、感想(共感)のコメント
・「買いました」等、購入報告のコメント 
が含まれるSNS投稿をそれぞれ、「アンバサダー」「ファン」「お客様」に分類してみるイメージです。

AAAプリンファン定義 クチコミ


これにより、今までは見えていなかった「ファン」や「アンバサダー」の存在を可視化することができると思います。
(残念ながら、「そういう発言がない」となる可能性はゼロではありませんので、その際は最初に決めた検索キーワードを変更したり、目を通す投稿数を増やしたりして調整してみて下さい)

それから、クチコミ閲覧中に、気になる発言/アクションをしているSNSユーザーやフォロワーがいたら、ぜひプロフィールやタイムラインをチェックしてみていただきたいです。

自社のブランド・商品・サービスについて頻繁に語ったり、フォロワーにおすすめをしたりする人はいませんか?
プロフィールにあるリンクを辿ったら、自社ブランドへの愛情いっぱいのメッセージが綴られたブログやnoteだったりしませんか?

そういう熱量高いファンを見つけたら、その人こそが御社のアンバサダー的存在です。

※上記のAAAプリンのpptスライドをフリー素材的にUPしてみますので、ご活用いただけますと幸いです。(2022年5月追記)

補足)
SNS検索で「ファン」や「アンバサダー」を探すのは手軽ではありますが、本気でやろうとするととても地道で肩の凝る体力勝負な作業です。
リソース確保が厳しい場合や、厳密に自社の「アンバサダー的存在」を探したいという場合には、日頃SNS運用を依頼しているパートナー企業様などに相談してみてください。
ソーシャルリスニングの一環としてのクチコミ分析やSNSアカウント分析等としてレポートを出してもらうなり、何かしらの協力を得られるはずです。

もちろん、私たちAMNでも「アンバサダー的存在」を探す調査やレポート作成、見つけた方々とのコミュニケーション等のお手伝いをさせていただきますので、お気軽にご相談ください。

※このnoteを見て、「アンバサダー的存在」について調査をしたい…などご要望いただけましたら、担当からご連絡いたします。

アンバサダーを可視化するアンケート


前述のカラメル商事のAAAプリンのように「ファン」を【企業やブランドと積極的につながりたいと感じている顧客=会員登録やSNSフォローしてくれるお客様】と定義する時、自社の会員組織/CRMや公式SNSでつながっているファンの中から【アンバサダー=オススメ・友人紹介してくれるお客様】を見つける方法があります。

自社会員や公式SNSフォロワー向けに推奨意向や推奨実績を質問するアンケートの実施です。

定期的に「お客様アンケート」を実施している場合には、質問項目の中に「推奨意向」や「推奨実績」等を追加してみませんか?
・〇〇を家族や友人におススメしたい
・〇〇を家族や友人におススメしたことがある
・SNSで〇〇をクチコミしたことがある  等々
推奨顧客「アンバサダー」としてのポテンシャルを探るための質問を行います。

ECサイト等でお友達紹介プログラムを導入している場合には、このアンケート結果とお友達紹介の状況の名寄せをしても良いかもしれません。

推奨マインドが高く、推奨実績が豊富な方々を見つけることが出来たら、その方々が御社の「アンバサダー的存在」です。


ファンやアンバサダーを可視化する「会う」施策


前述のSNS検索やアンケート調査等を含め、ご自身の経験をもとに「ファン」や「アンバサダー(的存在)」を感じているものの、
「SNS検索やアンケート調査では実態がつかめない」
「どんな人たちなのか、この目で見ないと実感できない」
と感じている方もいらっしゃるかもしれません。

そんな方におススメなのは…ズバリ、彼らと「会う」こと!
ぜひ直接会って、話をして、自社の「ファン」や「アンバサダー」の存在を実感してください!

「会う」のは、リアルでもオンラインでも良いと思います。
純粋に、コミュニケーション目的で参加者を募り「ファンミーティング」を実施してみる。「新商品発表会」のようなイベントを開催する予定が既にあれば、そこに「ファン」招待してみる等々、みなさまのご状況に応じて「会う」を実現してみていただきたいです。

「会う」時のポイントは、
参加者とのコミュニケーションの時間をしっかり設けること 
参加者にSNS投稿を強制しないこと  です。

ファンと直接会話することで、自社の商品・サービスに対する参加者の“好き”のキモチに触れることができますし、参加者にとっても直接企業やブランドの方に“好き”と伝えられたことが良い経験/思い出となり、その後さらに“好き”になる好循環を生む可能性が高まります。

ファン同士のコミュニケーションも大切で、“好き”なものが同じ同士が集まることで互いに親近感(商材によっては心理的安全性)が高まり、本音が出やすくなりますので、「ファン」の特性を掴みやすい状況が生まれます。

【企業⇔参加者】【参加者⇔参加者】の両方のコミュニケーションから、「ファン」や「アンバサダー」に共通する特徴が浮かびあがり、
彼らの存在を深く実感することができるはずです。

ちなみに、イベントを開催すると、ついつい「SNSアカウントで必ず#〇〇で紹介してくださいね」「#〇〇投稿で××をプレゼントしますよ」等々言いたくなるかもしれませんが、この時ばかりはSNS投稿の強制/インセンティブフックによるSNS投稿誘導はやめませんか。

「よろしければ、#〇〇で感想を教えてください」位で十分。
参加者にとって、楽しい体験・思い出深い時間を提供することができていれば、強制しなくても自然に語ってくれるはずです。

そして、自主的にクチコミやSNS投稿をしてくれる参加者を見つけたら。イベント後も、継続してクチコミしてくれるような参加者がいたら、その方々が御社の「アンバサダー的存在」です。


まとめ


今回は、自社の「ファン」や「アンバサダー」の存在を可視化する方法をご紹介しました。これが全てではなく、ほんの一例です。

「ファン」や「アンバサダー」の定義は百社百様。
「ファン」や「アンバサダー」との関係構築の道も百社百様。
その道のりの中で、迷うことや不安があれば、
私たちと一緒に「ファン」や「アンバサダー」について考えてみませんか?

弊社では、定期的にアンバサダーマーケティングの勉強会やゲストをお招きしたオンラインイベント「AMNセミナー」を行っています。

基礎編・実践編・効果測定編等、日時・内容を変えて開催していますので、ご興味がありましたら、まずはこちらにお気軽にご参加ください。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
それでは、今日はこの辺で。

すべてのブランドに、アンバサダーを。


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