【アイロボットの共創とファンの声の届け方】@AMNウェビナーレポート
みなさんこんにちは!
本日は、AMNが主催するアンバサダー(ファンプログラム)のオンラインセミナーwithファンの様子をアンバサダー ラボnote限定で公開いたします。
ゲスト:
アイロボットジャパン合同会社マーケティングコミュニケーション部 高川 弥生さん
モデレーター:
アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 アンバサダー/ブロガー徳力 基彦
パネリスト:
アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 松宮 優紀子
パネリスト:
アジャイルメディア・ネットワーク株式会社 河野 さくら
■ アイロボットのファンプログラム
徳力:高川さんのご自宅は、素敵なインテリアだなあ…と思ったら、背景写真ですね。最新のルンバとブラーバが写っていらっしゃいますね、それではまず自己紹介をお願いできますでしょうか。
高川:はい(笑)背景写真はルンバ i7+、ブラーバ ジェット m6の製品イメージ写真です。
私は、マーケティングコミュニケーション部でお客様にルンバやブラーバの魅力をお伝えする仕事をしています、高川と申します。CMなどの広告活動や公式サイトやソーシャルアカウントの運用、そしてファンプログラムも運用担当しています。
徳力:今日は、高川さんからのお話とあわせて、弊社のアンバサダープログラム部 部長の松宮さん、アイロボットさんの担当の営業をしております河野も参加します。高川さんには早速イベントのタイトルの意図からお伺いしていこうと思います。
高川:今回タイトルをファンとの「共創」としたのですが、昨年、アイロボット・コーポレーション CEOコリン・アングルが日本で初めての自叙伝を出しまして、それが『共創力』というタイトルで、その想いを込めました。
ロボット掃除機 ルンバを作った会社アイロボット
高川:「ルンバ」のことを「お掃除をお任せできるロボット」と知っていらっしゃる方はかなり多いと思います。しかし、「アイロボット」はご存じないかたもまだ多いと思います。
アイロボットは、「もっと人間に役立つロボットを作りたい」という思いで設立した会社です。創立はいまから30年前のことです。ルンバが最初に出たのが2002年、今では全世界で3000万台以上のロボットを販売するまでになりました。
アイロボットのミッションは「Empower people to do more」というもので、ロボットができることはロボットにやってもらい、人には人にしかできないことをしよう、という想いがあります。
例えばルンバにお掃除をお任せして、人がやりたかった趣味をしたり家族と過ごしたりができるような快適な環境をつくっていくことができます。
タッチポイントの創出と促進/新型コロナウイルスで変化したもの
高川:ファンプログラムをはじめたきっかけは、愛用者様の購入前のタッチポイントにありました。弊社製品の愛用者様にお話し伺うと、レビューやクチコミで情報収集をした方が多いことがわかりました。
ルンバを初めて使う人にとってみると「自分の家でも使えるのかな?」「ちゃんときれいになるのかな?」「ネコがいる家にはどうかな?」など、自宅で使うことを考えたときに、気になることに対して利用者からのクチコミやレビューが参考になるということでした。
弊社でもクチコミを創出していこうと、アジャイルメディア・ネットワークさんとのファンプログラムと並行して、レビューサイトやソーシャルメディア上でのモニター企画、雑誌やWebメディアからの情報発信なども行い、さまざまなタッチポイントでクチコミを促進してきました。
昨年からは新しい生活様式を考慮し、アイロボット製品デモンストレーションをYouTubeのアイロボットジャパン公式チャンネルでも観られるよう、情報発信を始めました。
様々なタッチポイントでブランド体験につなげて、最終的にアイロボット製品をご自宅に迎えていただけるようにと考えています。
本題のアイロボットファンプログラムですが、アイロボット製品のファンの皆さんを組織化し、2015年に立ち上げ今年で足かけ6年目になります。
ファンの方に、ブログやソーシャルメディアを通じて発信していただくことを前提として始めました。現在はブログ以外にも新しいソーシャルメディアが立ち上がり、時代によってどなたをターゲットにするかも変えながら施策を実行しております。
ファンプログラムでは、製品モニターをはじめ、ファンイベントを定期的に行ってきています。
徳力:最新のルンバのクチコミ、エンゲージ数がすごいですね。動画や部屋の図面をキャプチャしてアップロードされる方や掃除の様子を動画に撮って公開する方も多いですね。
高川:一般の方がアプリをキャプチャして投稿するといったことまではなかなかしないと思うので、やはりファンならではというところは感じます。
徳力:ファンイベントについても伺えますか。
高川:今年になって初めて、モニターさんがご自宅から参加できるオンラインイベントを行いました。オンラインイベントは、これまで行ったことがなかったのですが、参加された方々に笑顔で対応していただいて非常によかったです。それから、みなさんお家の様子が見えるので、リアルな住環境で使っていただいているんだな!と実感いたしました。
徳力:オフラインイベントで家の中はのぞけませんから、そこはオンラインならではで御社ならぴったりだなと思いました。
高川:これまでは東京本社に招いてのイベントでしたのでご参加可能な方が限られている印象でした。オンラインにして、遠くからも参加できるようになったと喜ばれている方もいらして、そこもやってよかったです。
ユーザーの声を活用し、より広める
高川:自分発信するということはかなり一般的になってきて、きれいにして撮るのもよし、自然体でちょっと散らかったまま自分たちの素の生活を出すのもよし、と自分らしさを投稿する方が増えている印象はありますよね。
しかし、“ルンバの性能“や“ルンバのある暮らし“について頻度高くいろいろ発信したいという人は多数ではありません。ですから、ソーシャルリスニングで見て確認できる声や感想は、社内で大切に共有したいなといつも思っています。
これらのファンの投稿は、それをさらに多くの人に読んで欲しいと思い、オウンドメディアでレビューを紹介するコンテンツ化をしており、さらに広告配信もしています。広告配信は、通常の広告に比べると、クリック率はかなりいいので皆様が知りたい情報を発信できていると考えています。
徳力:過去にwithファンにもお越しいただいたワークマンさんでは、アンバサダーを前面に出して製品の宣伝やテレビに出てもらうなど、彼らの影響力を上げるお手伝いをすることで、最終的にはワークマンも広まりやすくなるというお話をされていたのですが、アンバサダーの声をそのまま広告に活かすというのは、取り組みとして似ていると思いました。
高川:アイロボットファンプログラムの参加者の方はファンの熱量が高いので、この愛をもっと多くの人に届けたいなと思ったときに、手を加えず純粋に投稿いただいた愛を広く届けたいと思いました。それで広告として配信してみればいいのかなとやってみました。
河野:ファンの方に、このクチコミを広告に使っていいですかと、連絡をするのですが、基本的にいいですよ、ぜひ使ってください、というお返事をいただきます。使われることにモチベーションを感じていただけるということもあるみたいです。
徳力:掲載先はどういう場所ですか。
高川:使い分けをしておりますが、例えばユーザーがポストしたものをそのままソーシャルメディアの広告で掲載したり、あとはネイティブアドなどでも掲載したりもあります。
徳力:ソーシャルメディアではUGC広告のほうが、反応がいいというケースもよく聞きますね。ただ、ユーザーのクチコミをそのまま広告にする例は日本企業ではあまりないかもしれません。
ユーザーのタッチポイントの変化
徳力:6年前に比べると、全体でのソーシャルメディアの利用者数も違いますし、クチコミ自体は増えていると思いますが、以前と何か変わったと思いますか。
高川:この1年くらいで、改めてユーザーの利用するメディアが多様化していると気付かされました。以前は、特定のレビューサイトやブログで施策をしていましたが、今はTwitter・YouTubeなど、タッチポイントが多様化したうえで、それぞれ利用媒体が分けるようになりました。
ファンプログラムはいわば基点で、そこから、届けたいあの場所へ届けるにはどういう施策にすればいいのかな?と考えるようになりました。
徳力:ルンバを選んでもらうためには、どのタッチポイントに行っても「ルンバがいいんだよね」という声が聞こえてくるような状況にしておかないとならない、ということですね。
高川:発売初期、ルンバは家電好きの人が好む特定のジャンルに属していて、そこで認知を高めていくということが第一でした。いまは、お子さんが生まれて忙しくなり、家事と育児の両立をしたい、何か解決方法はないかという方が、手放せる家事を探しているうちルンバにたどり着くということも聞きます。そういったケースでは、いまとは違う場所にタッチポイントを作る必要があると考えられ、頑張っているところです。
松宮:そういえば新築祝いや新婚祝いにルンバということが多発していますね。
高川:ありがたいです(笑)率先して宣伝はしていないのですが、うれしいです。
徳力:高川さんにとってはファンプログラムの内容がいまのスタイルにたどりついたのはどんなところからなのでしょう?
高川:それは毎年すごく悩んでいることで、いまも模索中という感じです。
徳力:ただ、6年間続けてこられたのには、何かこれだ、と思うようなきっかけがあったかなと思いますが。
高川:そうですね。アイロボットでは、新製品やアプリが発表されるタイミングで、製品を紹介させていただいています。一方で、「新製品は私の生活にはどう合うかしら?」という声をいただけるのが、ファンプログラムだと思います。
ファンの方がアイロボット製品で「暮らしをどうよくするのか」毎回、新しい発見があるので、続けています。
徳力:この製品で暮らしをどう便利になったのかというファンの声は、リアリティがありますものね。なるほど。
河野さんや松宮さんは、アンバサダープログラムをやってみたいと考えている企業の方に知っておいてほしいことなど、ありますか。
河野:よくプログラムを始めたいという相談の中で、アンバサダー(ファン)にお願いをすればいいクチコミがすぐに出てくるだろうと思われているケースがありますね。確かにプログラムである程度増やすことはできるのですが、いいクチコミを増やすには、企業とユーザーとのコミュニケーションをずっと続けていくことが必要である、という視点が欠けていることがあります。この続けていくことの覚悟というか認識が欠けているときに、そのギャップと埋めていただく努力はしています。
松宮:あとは、わりとファンプログラムではやることがゴールになっていることも見受けられます。やっておしまいではなくて、何をもって成功とするか、ファンとコミュニケーションした結果、どういう状態を目指していて、どうなったらファンも企業もハッピーになるかというところをあらかじめイメージしてもっておくことは必要だと思います。
徳力:河野さんはアイロボットファンプログラムの担当をしてみて気付いたことはありますか?
河野:モニターきっかけでクチコミを生成、それがオウンドメディアで外に出てさらに広告にまで循環していくといけるというのは理想的な形だと思います。ほかで提案してもなかなかそうスムーズに横断的な運用はできないのが実情です。
高川:私は、お客様にルンバやブラーバの魅力をお伝えする方法を毎回模索しているので河野さんのお話はとても光栄です。
徳力:横断的な運用となると他社さんでは苦労話を伺ったりしますが、松宮さんは管轄の横断の問題が生じた場合どうすれば良いと思いますか。
松宮:そういう時、私なら社内の開発の方などを巻き込んでいくのがいいと思います。イベントなどに出てもらうと、それがインナーブランディングにも役立つということがあります。うちの会社にこんなファンがいたの!?といった感じで喜ばれて。
自社製品をこんなに愛してくれる人とのコミュニケーションが、その会社にとって役に立たないはずがない、ということですね。
徳力:インナーブランディングで社内の人が自分の製品に自信を持ち直すとか、ファンの方と直接会っていい意味で刺激を受けるということはよくあります。巻き込みたい部署の人に手伝いをお願いして仲間を増やしていくことで、横断する運用のきっかけづくりができるかもしれませんね。
さて、いろいろお聞きしましたが、今後の取り組みについて最後にご紹介ください。
“掃除を手放す“体験を増やす
高川:アイロボットファンプログラムで得た学びは、「使っていただくと良さを実感していただけるし、アイロボット愛が生まれる」ということです。
です。
弊社の「ロボットスマートプラン+」のサブスクリプションサービスや、2週間レンタルというサービスを通じて、さらに多くの方にアイロボット製品を使う体験をしていただきたいと考えています。
アイロボットの製品がある体験をどんどん広げていきたいです。製品のことを愛していただけるがゆえに、より自分たちの暮らしをもっと愛せるようになる方が増えたらいいな、と思っています。
徳力:今日はたくさんの参考になるお話、ありがとうございました。