見出し画像

「ファンのことがわからない」を解決する考え方とコツについてお話してみます。

こんにちは、村井です。
 
今回のテーマは、「ファンのことがわからない」を解決する考え方です。
以前投稿したこちらの回では

「うちにはファンはいないのでは?(ましてや、アンバサダーなんて…)」と感じた時に試していただきたい“ファンを可視化する方法”をご紹介しましたが、これと同じくらいよく聞くお悩みが「(漠然と)ファンのことがわからない」というもの。
 
わからないからこそ理解したいという、とても前向きなお話ではあるのですが、開口一番
「〇〇のようなツールが必要ですかね?」
「アンケートで聞くのが良いでしょうか?」
と、手段や手法最優先でご相談をいただくようなケースも…。
 
あれこれと頭の中で揉んでいるうちに、ファンに関する情報を集めること自体が目的になってしまうのかもしれませんが、せっかくファンのことを理解する手立てを考えるのであれば、知るべき情報は何か。そこから得た情報を何に活用するのか…など理解する目的やGOALイメージを持った上で、調べる方法を決めていきたいですよね!
 
そこで、今回は「ファンのことがわからない」を解決する考え方とコツとして、このようなご相談を受けた時に、”意識して確認していること&お伝えしていること”の中から、3つのポイントをお話してみます。
 
特に、自社のファンがいることはわかっている(=ファンの可視化はできている)けれども、
「ファンのことが何となくわからない」
「ファンを知るために、何をすれば良いのか迷っている」
という状態の方に、参考にしていただけると幸いです。

ポイント1:「わからない」の分解・整理から始める

 
「ファンのことがよくわからない」
「ファンのことをもっと知りたい」
このようなご相談を受けた時には、手段や手順とは切り離して、ファンの「何を知りたいのか」「知ってどうするのか」をセットで考えることをおすすめしています。
 
「何がわからないのか」「どんなことを知れば、わかるようになるのか」を言語化しないことには、何をするべきか決めることができませんし、いつまでたっても「なんとなく、わからない状態」が続いてしまいますよね…。
 
ファンついて「わからない」「知りたい」の対象となる主な事項としては 
1)属性:性別・年齢・居住地など 
2)意識:推奨意向・満足度・参加動機など 
3)行動:SNS投稿・購買実績・施策への参加実績など 
があります。
 
そして、これらを知る目的や要望としては、
A)現状把握:傾向・特徴を理解したい
B)仮説検証:仮説立てや検証につなげたい
C)貢献評価:施策の意義や貢献価値を可視化したい 
といったことがあげられると思います。
 
知りたいこととそれを知る目的を掛け合わせて言葉にしてみると、自ずと見えてくるものがあるはずです。
例えば、

・立ち上げたばかりの新ブランドなので、どういう人たちがファンになってくれているのかわからない
⇒まずは、マーケティングターゲットと実際のファンの属性を照合して、乖離の有無を把握してみる(1×A)
・コミュニティサイトに登録してくれているファンの(サイト外での)行動がわからない
サイト外/SNSでのクチコミ状況を調べて、ファンコミュニティがファンに与えている影響や貢献価値を可視化してみる(3×C) 

 …等々。
もし今、「なんとなく、わからない状態」を抜け出したいと考えているのであれば、まずはファンについて「何を知りたいのか」「知ってどうするのか(どうしたいのか)」をセットで考えてみてください。
 
「わからない」を分解・再定義してみることが、ファンのことを知るファーストステップになると思います。

ポイント2:どうやってその情報に辿り着くか、選択肢を広げて考える


「わからない」を分解・再定義した後は、どうやってその情報に辿り着くかを検討していきます。
 
先程お伝えしたことを5W1Hに当てはめてみると、
・ファンについて「何を知りたいのか」=WHAT
・「なぜ知りたいのか(知ってどうしたいのか)」=WHY
残りのWHEN(時期) WHERE(場所) HOW(手段)はこの後で考えていきましょう。
 
「何を知りたいのか」=WHATを軸に、それを調べる方法=HOWをざっくりとまとめると、こんな感じになるでしょうか。

「属性」と「意識」は、本人に聞かなければわかりませんので、アンケートなどで本人に直接聞きます。
「行動」については、Webサイトや店頭などでデータを取得して行動ログを見るのが基本です。知りたい事項/行動を把握することができる場所や手段/ツールを選定して調べてみましょう。
データ取得が困難だと言う場合には、その行動について「〇〇しましたか?」とファンに直接聞くのも有りだと思います。
 
ちなみに、ファンのクチコミ行動を把握するために、「SNS投稿しているか?」を調べる場合には、商品名や指定ハッシュタグを含む投稿を検索したり、収集ツールを活用したりして投稿の有無を把握、件数を集計するという方が多いと思います。
(弊社がご支援しているお取組みでは、アンバサダープラットフォーム®を活用して、登録者のSNS上のクチコミを収集・一元管理していますので、各種データを管理画面上で見ていただくことができます)

 
一方で、収集ツールは導入していない、SNS投稿を検索する十分なリソースもないという方もいらっしゃると思いますが、その場合はファンを対象にしたアンケートで確認するという選択肢も出てきますよね。
正確性には欠けそうですが、「大体このくらい」という目星はつけられますので、「ツールがないから」「時間がないから」と言って知ることを諦めてしまうよりは良いのではないでしょうか。
 
また、同じクチコミ行動の把握でも「SNSではなく、日常生活の中でクチコミをしているか?」を調べたい場合も(ファンひとりひとりに密着して行動観察するのはなかなか難しいと思いますので)、アンケートやインタビューで本人に聞く方法を選ぶことになるでしょう。
 
それから、クチコミの有無や回数ではなく、内容を定性的に把握したい。その方が知りたいことに近づける、というケースもあると思います。
その場合は、収集したクチコミ/SNS投稿をポジネガや発信日時、頻出キーワードなどで分類したり、添付された画像を目視したりして、分析・把握していきます。
 
例えば、発売されたばかりのアルコール飲料B。
売上好調な中、どういう人たちがファンになってくれているのか、何に価値を感じてもらっているのかがよくわからない。ファンユーザーの行動特性を把握して、次の展開の参考にしたい…というような場合、Bに関するSNS投稿を集計・分析し、ファンユーザーの傾向を導き出していきます。

・帰宅・晩酌・つまみ・最高といったキーワードと共に語られている
・自作のつまみと商品を並べた画像が目立つ
・つまみは和洋中問わず、幅広いジャンルの料理
・〇〇料理と商品Bの相性の良さをおすすめしている投稿が目立つ
・宅飲みをしているフォロワー同士で乾杯する投稿がみられる

といったことがわかったとして、まずは帰宅後に手製のつまみと商品Bを片手に、晩酌を楽しむファンの横顔が見えてきます。
そして、ファン全体の行動を俯瞰してみた時に、彼らが日々作っている多様なおつまみの画像から「どんなジャンルの料理にでも合う、商品Bの魅力」が浮かび上あがってきます。
ここから、上記のようなファンにアンバサダーになってもらうことで、商品Bの懐の深さを伝えるコミュニケーションができるのではないか。そして、それはファンにとっても、日々の晩酌を楽しみながら乾杯仲間を増やすことにつながり、メリットがあるのではないか…といったことも考えられるようになりますよね。
 
クチコミ行動/SNS投稿から見えてきた情報・行動同士を結び付けることで、「こういう行動をとるのが、うちのファンだよね」とファンの行動特性や嗜好が見えてくるのが定性調査の興味深いところ。
個人的には、定性調査の方が「ファンのことがわからない」を解決する近道になるのでは?と感じることも多かったりします。
 
こんな風に、“同じ行動”に着目していても、目的や状況次第で調べる方法=HOWは変わります。
だからこそ、どうすれば知りたい情報に辿り着くことができるかと考える時は、選択肢を広げて考えること
を意識してみてください。

ポイント3:ファン目線で、聞く(聴く)


アンケート、インタビュー、ファンミーティング、SNS投稿企画…等々。
ファンやアンバサダーに直接質問をしてみることを決めた時、忘れないでいていただきたいことがあります。
 
それは、御社にとって「知りたいことを聞く機会」が、ファンやアンバサダーにとっては「自分が好きな企業やブランドが提供する、参加/体験機会」のひとつだということです。
 
たとえば、アンケートをすることに決めたとして。
回答インセンティブがなくても、御社の「ファンの声を聞きたい」という気持ちが伝われば、
「自分が回答することで、大好きなブランドに貢献できるのなら、ぜひ参加したい。」
「この機会に、〇〇好きの自分の声を伝えたい!」
と「参加すること」に真剣に向き合ってくれるファンが現れます。
 
少し多めの質問数で、回答するのに時間がかかりそうだとしても、調査目的がしっかり伝わり、参加意欲を刺激されたファンであれば、全ての質問に丁寧に回答してくれるものです。
 
だからこそ、

  • ファンやアンバサダーが「参加したくなる」声のかけ方をする

  • ファンやアンバサダーが「回答したくなる」質問を設ける

  •    内容によっては、自分たちが聞きたいことを聞いて終わりにするだけではなく、何らかの形で後日結果をフィードバックする

といったファン目線での心掛け・工夫が必要になります。
(対面で行う、インタビューやファンミーテイングとった他の手法も同様です)
 
“調査設計は回答者の視点に立って…”と言いますが、ファンに直接質問することを決めたのであれば“ファン目線でのコミュニケーション”を意識してみませんか。
そうすることで、ファンに直接聞く/聴く施策は、自分たちが知りたかったことを知る機会というだけではなく、ファンとのエンゲージメントを高める機会にもできるはずです。

まとめ


今回は「ファンのことがわからない」を解決する考え方とコツとして、3つのポイントをお話しました。

● まずは、手段や手順とは切り離して、ファンの「何を知りたいのか」「知ってどうするのか」をセットで考えること。
 
● どうやってその情報に辿り着くかを、選択肢を広げて考えること。
 
● ファンに直接聞く施策/機会は、ファンやアンバサダーにとっては「自分が好きな企業やブランドが提供してくれる参加/体験機会のひとつ」であると考えること。

“基本のき”的な話ばかりだったかもしれませんが…
何かひとつでもみなさまの参考になることがありましたら幸いです。

AMNでは、ファンやアンバサダーに対する様々な「?」を解決するためのサポートソリューションをご提供しています。
私たちと一緒に「ファンのことがわからない」を解決してみませんか?
 
ファンやアンバサダーを対象とした調査(ソーシャルリスニング、SNSフォロワー分析、NPS®/ロイヤルティ調査、アンバサダーアナリティクス調査等)はもちろんのこと、ファンの声を直接聴く、ファンミーティングのご支援も行っています。

ご興味ございましたら、お気軽にご相談ください。

ここまで読んでいただき、ありがとうございました。
それでは、今日はこの辺で。

すべてのブランドに、アンバサダーを。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?