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【ソーシャルメディア活用(17)ファミリーマート】「ネットニュース、店舗、SNSとつながっていくのはコンビニならでは」

※このコラムは2012年10月22日の宣伝会議Advertimesに寄稿したものの転載です。


今回はファミリーマートのソーシャルメディア運用を担当する総合企画部 マーケティング室 コミュニケーション戦略グループの飯干陽子さんと、広報・IR部 広報グループの高岡夏さんに、ソーシャルメディアの取り組みについて聞きました。

コンビニ業界初のツイッターアカウント開設

――ソーシャルメディアを始められたきっかけを教えてください。

飯干:最初に立ち上げたのはツイッターです。2009年12月に開設しました。当初はファミリーマートで販売しているチキンのプロモーションが目的でした。12月はクリスマスシーズンでチキンの需要が高まるため、会社を挙げてプロモーションしていく中、販促の一環としてツイッターを採用したのがきっかけです。

――ツイッターを始めることに社内から反対などはありませんでしたか。

高岡:弊社ではツイッターを開始する以前にブログを期間限定で運営していたこともあり、比較的スムーズに始めることができました。

――ツイッター開始当初の反応はいかがでしたか。

高岡:チキンの販促のために開始したので、当初は「ファミチキなう」とつぶやいてくれたお客さまに自動で川柳などを返信してくれるボットを利用していました。企業アカウントがまだ少ない時期だったということもあると思いますが、予想以上の反響があり、アクセスの集中によりボットで自動返信ができない時もあるほどでした。ボットの返信はランダムで数種類用意していたのですが、全種類出すまでツイートしてくれるお客さまもいらっしゃいました。

運用していく中で「チキンだけでなくて、新商品の情報も欲しい」という要望もいただくようになり、新商品情報を中心に情報配信をするようになりました。

――運用面での不安はありませんでしたか。

高岡:当時はまだツイッターを運用している企業が少なく、またコンビニエンスストア初のツイッターアカウントの開設でしたので、どのような運用がよいのか、毎日、本当に試行錯誤の連続でした。言葉づかいや会話のトーンついては、弊社の場合はファミリーマートのお店で、普段お客さまと会話しているようなシーンをイメージして書くようにしました。

宣伝を担当する部署でツイッターの配信も行っていいます。ソーシャルメディア独自の注意点もありますが、基本的には、従来の広告表現で気を付けていることをツイッターでも同様に注意するようにしています。

――ツイッターでおにぎりの具を決めるキャンペーンも実施されましたね。

飯干:チキンのマスコットキャラクターに「ファミ吉」という名前をつけたのもツイッター投稿だったのですが、お店に並ぶ商品をツイッターで決めたのはおむすびが初ですね。1回目のキャンペーンは2010年夏に実施し、今年の11月には3回目の商品が店頭に並ぶ予定です。

ファミリーマートのツイッターの公式アカウント宛にお客さまから「ツイッターでアイデアを募集して商品化して欲しい」というご意見をいただいたのがきっかけです。そういった取り組みを実際にできないかと社内で相談して、140文字という限られた文字数でアイデアが表現しやすく、またコンビニを代表する商品でもあるということで、おむすびの企画がスタートしました。

第1回のキャンペーンは3500件近い投票をいただき、その中から人気投票で実際に製品化するおむすびを決定しました。通常、おむすびの人気上位商品は鮭やこんぶ、たらこといった定番商品なのですが、ツイッター企画のおむすびはどれも、“これまでにない商品”と“お客さまといっしょにつくった商品”としてご支持頂き、人気上位にランクインしました。

ツイッターユーザーは話しながらつながっていく


――実施してみて反響はいかがでしたか?

高岡:ツイッターがおもしろいのはお客さまが話しながらつながっていくところですね。今まで商品のアイデアを投稿していただくコンテストやグループインタビューも実施してきましたが、ツイッターでは日本全国で顔も知らないお客さま同士が1つのハッシュタグでつながり、知らない方同士がおむすびのアイデアをベースにリアルタイムでお話して盛り上がっているところが非常におもしろいと思いました。とにかく、気楽に投稿できるし、広がりがあるところがいいですね。発売後召し上がった感想をツイッター上でたくさんのお客さまがつぶやいて下さっていたのが印象的でした。

飯干:おむすび企画は2年目にフェイスブック、3年目となる今年はツイッターとフェイスブックの両方で実施しました。2回目の投稿数は1000件程度、3回目は4000件以上の投稿をいただき、今までで一番の投稿数となりました。

――フェイスブックのみでは投稿数が思うように伸びなかったのでしょうか?

飯干:ツイッターであれば1人でたくさん投稿してくれる人もいますが、フェイスブックはどちらかというと「渾身の一作」を投稿してくる人が多かった印象です。

――フェイスブックはいつ頃から始められたのでしょうか。

飯干:フェイスブックは2011年5月に開始しました。ファミリーマートはCSRや店舗単位での取り組みにも力を入れているのですが、140文字に制限されるツイッターでは発信できる情報も限られます。商品にかけた思いなどをしっかり紹介できる場としてフェイスブックを開始しました。

――投稿内容はどのように決めているのでしょうか。

飯干:事前にある程度投稿する内容は決めておいて、それにプラスアルファで情報を加えたりしていますね。その週ごとに強化商品や販促する商品を決めているので、お店の動きに合わせてそういった情報を付け加えています。店頭で販売する商品以外の情報でも、CSR活動やイベントの情報なども配信しています。

mixiページは「ほのぼの」、LINEは初日に20万人が登録


――初音ミクはどういった経緯でキャンペーンを行われたのでしょうか。

高岡:もともとは初音ミクの商品が当たる「くじ」の展開をきっかけに、「みんなで育てていくアイドル」という初音ミクさんの世界観と、ファミリーマートのスローガンである「あなたと、コンビに、ファミリーマート」がマッチすることもあり、単発のキャンペーンではなく中長期にわたって取り組みをさせていただくかたちになりました。

今年8月には「はちゅねミク肉まん」など、オリジナル商品の発売や、ファミリーマートオリジナルの初音ミク景品を抽選でプレゼントしたりといったキャンペーンを実施したのですが、おかげさまで大変な人気で、ホームページのアクセスも急増しました。

ツイッターを使った商品の開発のように、現在はネットで情報を配信をして終わるのではなく、ネットと店舗が連動していくことを重視しているので、初音ミクの人気の曲の中からユーザー投票で選ばれた曲を、店舗で実際に放送したりという取り組みも積極的に行っています。

――スライム肉まんもネットで大変な人気でした。

高岡:おかげさまでツイッターやYahoo!の人気キーワードに3日前後「スライム肉まん」が入るくらい反響をいただきました。みんなで一緒に楽しんでいただけたことが、結果としてネットでの話題のひろがりにもつながっているのだと思います。ネットニュースなどでご覧になった方が店頭で実際に商品をお買い求めいただいて、さらに、SNSで写真や感想を書いていただく、そして、それをご覧になった方がお店に行ってといったかたちで広がっていくのは、コンビニならではの面白さですね。

――多くのソーシャルメディアを活用されていますが、それぞれ特徴はありますか。

飯干:人数だけで見るとLINEとフェイスブックが多いですね。ツイッターは興味や関心でつながっていきますし、フェイスブックは人をつなげていく特徴があるように思います。拡散した際にWebサイトへ誘導してくるのはツイッターが一番ですね。ツイッターのフォロー数は4万くらいで、フェイスブックは18万くらいのファンがいますが、反響があったときはツイッターのほうが強いです。ファミリーマートのファンになっていただいているお客さまはコンビニそのものが好きな方が多いので、自社商品にこだわらず話題の商品を紹介するとフェイスブックのほうが爆発的な反響があります。

一方でフェイスブックは文字数の制限がないので、伝えたい情報をしっかりとお伝えすることができます。ツイッターは文字制限があるので一度にお伝えできる情報量に限りがあります

また、フェイスブックなら「商品の果実が何パーセント」といった細かなキーポイントとなる情報を盛り込んだり、シズル的な言葉をちりばめたりと言うことがしやすいですね。写真で商品の良さを伝えることもできるといった魅力があります。

mixiページは「ほのぼのしている」という印象ですね。お店のスタッフも一緒になって、公式アカウントの情報に「この商品うちにもありますよ!」と書き込んでくれたりしています。

高岡:LINEはアカウントを開設したばかりですが、初日で約20万人の登録がありました。特に若い世代が強いですね。

ユーザー参加型企画に注力していく


――ソーシャルメディアの効果測定はどのようにお考えでしょうか。

飯干:ソーシャルメディアは、単なる情報発信にとどまらず、お客さまとの絆作りの深耕とさらなるブランド力の向上のためのツールと位置付けています。直接的な効果が必要な場合もありますが、継続的な関係の構築というところにも重きをおいています。

LINEやFamiポートを利用したクーポンの発行など直接購買につながる取り組みも展開しながら、お客さまとつながる場所として活用していきたいと考えています。

――今後考えられている施策などはありますか。

飯干:今年の8月に「日々野 優」というファミリーマートの公式キャラクターをたててファミリーマートを宣伝してもらっています。このキャラクターを活用してファミリーマートについてもっと知っていただきたいなと考えています。

飯干:お客さまに参加していただける企画も実施していきます。今は人気グルメサイト「食べログ」とコラボして、ベストレストラ 2011(東京)(大阪)それぞれで最も高い点数を獲得したイタリアンレストランのシェフにご提案いただいたレシピの中から、ユーザー投票で選ばれたレシピを商品化する新企画を実施し現在、販売中です(11月12日まで)。

また、フェイスブック、ツイッターからのアイデア投稿から選ばれたおむすびは、現在、11月13日の発売にむけて、商品を開発中です。

「mobage」でも、ロッテさん、ブルボンさん、不二家さんにご協力いただき、好きな味のお菓子を作る企画を実施したところ、合計で10万以上の投票をいただきました。こちらの投票結果で選ばれた味のお菓子は12月に発売予定です。

こうしたお客さまに参加いただく企画はこれからも実施していきます。みなさんのアイデアが本当に商品になる可能性があるので、ぜひ応募していただきたいなと思っています。

――インタビュー雑感
ソーシャルメディアをお客さまとつながる場所として考え、お客さま参加型の企画を多く展開するファミリーマートさんの取り組みは、ソーシャルメディアならではの面白い取り組みだと思いました。同時に、社内のソーシャルメディアに取り組む体制や、他の部署との連携がしっかりできているからこそ実現できる取り組みであると感じました。(アジャイルメディア・ネットワーク)

※このコラムは2012年10月22日の宣伝会議Advertimesに寄稿したものの転載です。



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